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■ 近頃のこと

2018/08/06

唐団扇に猛暑あれこれ

連日の猛暑には、ひたすら閉口するばかりです。
私の仕事場は、天井がそれほど高くないせいなのか、居間などに比べて2℃ほど気温が高いのです。
それでも京都などに比べたら3、4℃程も低いのですし、どうも私は家で冷房を使うことに、ひ弱で情けない意識が拭えず、エアコンを使いませんので、Tシャツは直ぐにじっとりと汗ばむのですが、水風呂を楽しんだりしながら、暑い仕事場で制作を続けています。
また、暑さ寒さには身体が対応して来ますから、暑い暑いとはいうものの、外を歩き回らなければならないわけでもなし、病気の動物がひたすらじっとして病の去るのを待つが如く、うんざりしながらもひたすら耐えることにしているのです。
ここ数日、指先に汗が滴り落ちて絵を汚さないようにしながら、菊慈童の持つ唐団扇を作っていました。
全長五寸ですから、鳳凰の頭など2~3㎜程度でも何とかなるのですが、どうにもならないのは唐団扇の枠なのです。
とにかく絵絹をサンドイッチした枠でなければなりませんから、木をくり貫いて作れたとしても、あまりに細くて割れてしまうとか、上手いこと出来ないのです。
そこで、針金で同寸の枠を2枚作って絵絹を挟む事にしたのですが、中々ピッタリとは合ってくれません。隙間やら段差やらに固く溶いた岩胡粉を塗りつけては紙ヤスリで整形して辻褄合わせし、岩絵具で彩色仕上げるのですが、どうしても太く野暮ったくなってしまい、スッキリ出来上がらないのです。
お能で使われる本物ならば、大きさがありますから、制作方法も色々考えられるでしょうけれど、人形の小道具のようなサイズでどう作ったら良いものか、知って居られる方が居られましたら、是非教えて頂けないでしょうか。

近年右腕の調子が悪く、鈍くダルい痛みが消えずにいたのですが、それが酷くなる一方なのです。
何か作業している時はまだしも、歩いている時とか腕を垂らした状態になると、指先から脇の下の付け根までが、気だるく痺れて痛むのです。
先日そんな疲労が重なった腕で、10㎝もの大将の手をいつも通りカッター1つで彫っていたら、思いの外桐材が固く、とうとう筋を傷めてしまったようなのです。
随分駆使してきた右手のことですから、そろそろガタが来てもおかしくないとは言うものの、筆先やカッターの刃先の扱いに影響が表れ始めては、至極切実な問題になってしまいました。
だからといって何もせずにいられるものではありませんから、依頼の小道具やらを作るのですが、どうも思うように指先なりが動いてくれません。
年齢によって、いずれはこうしたことになるのでしょうから、少し早まった必然だと諦めれば良いのでしょうけれど、なかなかそうもいきません。
歳を受け入れるとは、無念な言い聞かせを続けるというのものなのでしょう。

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