草の中に咲く昼顔を、直径20cmの桐板に作ったのですが、もっと草むらに埋もれるように咲く野の花の光景を作りたかったのです。
葉の交差が一つの見せ場でしょうけれど、先ず必要なだけの雑草を単体として完成して作ってしまい、基本となる一本を植え付けたら、それに組み合わせて位置を図る方法を取るのです。
昼顔は朝顔同様に、これもまたそれだけで見られる、花や葉を付けた蔓として作ってしまい、それを出来上がった草の茎に絡みつけて行くのです。あくまでも偶然性を狙った構成です。もちろん、偶然を引き出す『作為』には違いないのですが、そうした方法で出来上がった位置関係などは、作為ではとうてい及ばないもののように思うのです。
落ち葉がどんな角度で重なるとか、どんな色合いで積まれるとか、それは風なりの偶然が成すだけなのです。そんな自然の成され方には、作為を遙かに超えた美しさや面白さ、そして何よりも意外さがありますから、そんな効果を狙わせてもらっている訳です。
そんなわけで私の作る有職造花というのは、復元や決まり物以外だと、同じ物を作れと言うのが無理なのです。