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■ 近頃のこと

2014/09/01

レンゲの下草

昭和初期に制作された有職造花の下草に、レンゲ草らしきものが確かに写っているのだし、人形に付随させる下草としてスミレが作られているのだから、有職造花でレンゲ草が作られなかった筈は無いだろうとも思っていたのです。
レンゲの花は細かいパーツの集合ですが、曲がりなりにも藤や萩を作れているのですから、技術的には別段特別な用意や身構えなど必要もありません。
少し前にタンポポとスミレの下草を作ってお渡しした方が、もう一つ下草をお望みのようでしたから、ちょうど手が空いた事でもあるし、ならばレンゲ草にしてみようと初挑戦を迎えたのです。
図鑑で花の成り立ちを見れば、十分に有職造花の技法を当て嵌められるものでした。有職造花というのは、作る花にどの技法を当て嵌めるか...どの鏝当てを当て嵌めるかという要素が強く、相当強引なくらいに当て嵌めてしまっているものです。
アートフラワーというものがどのような姿勢で作り上げられるのか知りませんから何とも言えないのですが、写実に留まらない様式化を前提とするのが有職造花だとすると、同じ造花といえどそもそも比較にはならないように思うのです。
ともかく出来上がったレンゲ草が愛らしいのは良かったのですが、実物の群生を確かめられていないので、茎の曲がり方などでの表情付けは、所詮想像や造形上の都合でしかありません。
敢えて土台を白木のままにしたのは、花や葉色を活かすためだったのです。最初は向かって右を大きく空けてあったものの意図が通じ難い気もして、色彩の対比を図り若干季節外れになるのですが、オオイヌノフグリを添えてみたのです。
こうして画像で見ると、やはりお客様には緑の土台の方が良かったのではないかとも思ったりするのですが、それでも初挑戦だったレンゲ草での下草を仕上げる事が出来て、その安堵と満足の気持ちの方が強いのです。

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