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■ 近頃のこと

2014/09/16

依頼者とはいうものの

こうしたHPを立ち上げていると、注文の前段階としての問い合わせが舞い込みます。今は、参考までに大凡の値段の目安をトップページに記しているのですが、それが無かった旧HPの頃にはもっとあったのです。
コレクションである丸平雛の展覧会に平薬を飾ると、気軽に欲しいと仰る皆さんは、たいてい高くても一つ一万円程度に見積もって居られるので『一万円では、五色紐の三本も買えません。』とお答えするしかないのです。実際、淡路結びした五色紐(とはいうものの六色六本ですが)は、京都で染めて撚って貰う特注品ですから、大袈裟でなくそんな仕入値なのです。当然お求め頂けません。
HPからの問い合わせでお求め頂いた方々とは、以後一様に親しくなるものですが、最初にメールを送るのは非常に覚悟が要ったそうです。相手にされないだろうとか、とんでもない値段で買わなければならなくなったらどうしようだとか、色々お考えになられるものなのだそうで、もちろんお付き合いが始まるなり笑い話に変わります。そもそも問い合わせなのですから、買うとか買わないとかは先の先の話。どんな風にお感じになったかなど、ご感想やご意見を気軽にお聞かせ頂けたらと願うのです。
さて、お問い合わせは殆ど価格についてですが、値段をお伝えすると返信も無いのが常の事なのです。ガッカリしてしまいます。注文頂けなかったことにではなく、依頼者とはいうものの...礼儀としてです。そうした方だからこそ、お求め頂けないのだろうと思いますし、理不尽なキャンセルをされた時など、画像のような制作途中の物が残ろうと、そんな所に納めずに済んで良かったという思いで、つくづく胸を撫で下ろしたのでした。
だからこそ要望が切実であれば、極く限られた予算であろうともお引き受けして、桐箱入りでお届けする事もあります。有職造花の場合、容れ物は品物の価値を決定してしまうほど重要な要素ですから、出来うる限り桐箱での納品を望むのです。制作が情熱で突き動かされるものの如く、情熱ある依頼もまた制作を突き動かすということかと思います。

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