足元から頭のてっぺんまで六寸弱(17.5cm)というサイズは、ぴったり3頭身半なのです。
こうして小さな着物を縫ったり、パンツを作ったりしていると、最初は尺三寸の仕丁に絡めてみようとか計画していたものの、そもそも丸平さんの雛に組み合わせようというのが図々しいのですから、仕丁と同じ段に乗せるのなら、その小道具として作ったチャボやらに絡めれば良いし、もっと子供らしい仕草も引き出せるだろうと、さっさと計画変更したのでした...とは言っても、胴体などまだ二人目を彫り始めたばかりなのだし、その内また変わるのかもしれません。明日の風はわかりませんから。
この着物の生地は丸平さんから頂いたものです。古い絹でもスッキリとした爽やかさに仕立て上がって、この子に相応しいようにすら思えるのです。もちろん裏もつけ、内着も着せてあります。
この制作は、あくまでも素人のすることに過ぎませんから、十二世面庄の貴重な頭には出来る限り手を加えないようにしておかなくてはなりません。それ故、描き下げ(結髪のために頭師が生え際を描くこと)の墨は拭ってしまっても、坊主のままで使おうと思っていたのです。しかし、こうして着付けをしてみると、若干なりと髪付けされた姿を見たくなってしまうのです。ならばどんな髪型にしたら良いのか、寺子屋の子供のようにサイドだけに少しばかりの髪を束ねるくらいが限界だろうとか...いずれにせよ有職造花制作を放り投げた道楽に、嬉々とした時を過ごしているのです。