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■ 近頃のこと

2014/11/12

にわか人形師 3

三つの頭の内2体を仕立て、さて3体目をと思っても相応しい生地が有りません。そうしている内に、太い横縞文様に興味が湧き、ならば染めた絹を縫い合わせて文様にすれば良いと思い付いたのです。
黄緑と薄い紅梅に染めた絹から、先ず黄緑の横縞にした衣裳を仕立ててみれば、これがなかなか良くはまって、気に入らなかった2体目の衣裳も、薄い紅梅の横縞で縫い直すことにしたのでした。さすがに厚い絹の事で格調もあり、衣裳御所と言うべき人形に相応しい着物に仕立て上がったように思います。
着付けてみて初めて実感したのですが、極端なほど足を短く作る子ども人形のことですから、立っていてもしゃがんでいても、その背丈がいくらも変わらないのです。並べてしまうと違和感が強調されてしまいますから、組み合わせには目の錯覚利用とか、それなりの工夫をしないといけないでしょう。
しゃがんで見上げるポーズには、着物の下にこぼれた餌をついばむため、チャボが裾に入り込んでしまった...というような設定も面白いのではないかと考えています。
さて、制作が止まったままの有職造花ですが、ずっと以前から興味惹かれながら、鏝当ての方法や蕊の製法に決断が得られず、作れないまま何度も季節をやり過ごして来たのが山茶花なのです。椿と違って山茶花の花びらには、容易く様式化出来るような形の限定というものがありませんし、萼から平面に花開く形体もその再現が私には難儀なのです。要するに、有職造花として成り立たせる自信が無いのです。
私が最も惹かれる山茶花は、僅かに薄紅が射された白い花びらのものなのですが、赤い八重の山茶花と違って思いの外開花の時期が早いようで、いつの間にやらすっかり散ってしまいました。道端に落ちた花びらを手に取って撮影してはあるのですが、何となく掴みかけた制作の糸口も、季節の移り変わりと共に今年も遠のいて行くようです。慣れない人形作りは新鮮な楽しさでしたが、有職造花制作に手持ちぶさたになったままでいると、何となく頼りない心持ちの日常になってしまうのです。

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