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■ 近頃のこと

2015/01/15

手直しと新作と

衣裳御所人形をすっかりばらしてしまってからおよそ2ヶ月、殆ど有職造花制作もせずに、コレクションである二番親王尺三寸揃の最後、二十五人目に加える五節舞姫の制作を丸平さんに依頼するため、人形に付随した小道具を揃えるのに掛かりきりでいたのです。ゆっくり丁寧にやればそれなりに出来てしまうもので、檜扇に結ぶ五色紐の"にな結び"など随分達者になったように思います。
やり始めるとその技術が完全に手に入るまで執拗に繰り返しますから、以前から気に染まないでいた二番親王の檜扇五色紐も、師走の中旬に上洛して仕入れて来た伊藤組紐店の絹紐で結び直し、付け替えてしまう事が出来ました。
さすがに専門店の染めのことで、派手に走らない古風な染め色は新品に拘わらず時代色すらあるように見えて、自分自身ではやっと満足出来たのでした。

制作中の『松の立木』制作で最も大きな問題は、遠方に送るための箱の確保なのです。とりわけ立木の制作には、いつもこの問題が立ちはだかります。
今回は手近に巾90cm・奥行53cm・高さ78cmという段ボール箱があったので、それに入るように作ったのですが、思いがけないほど大きなものになりました。結局松のパーツは460程、それを90本ほどの小枝にまとめて植え付け、その根元には地上に浮き出た太い根っこも再現してみました。
その根元近くの土台に、別に仕立てた四季の花なりを差し替えることで、常緑樹である松に月毎の風情が加わるよう工夫してあります。画像は一月分として誂えた若竹です。
どんな草花と組み合わせようが、周囲の色彩を濃い緑に映えさせながら、そびえ立つ老松の威厳を誇ってくれることでしょう。
まだ土台造りには時間がかかりますが、今時こんな制作の機会を与えて下さった依頼者の期待を上回る精進で応えなければと、感謝を深めながら取り組んでいるのです。

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