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■ 近頃のこと

2015/02/12

小さな掛け蓬莱と茱萸嚢

『節句の有職造花』に載せている『五節句の三宝飾り』は、そもそも五節句を象徴した有職造花を三宝に載せ、尺三寸という大きな五人の官女に持たせるつもりで作ったのです。
最初は自分でも至極気に入っていたし、小さな五節句飾りとして女性に人気が出てしまった事から、そんな依頼で10数組も作ったことにもあるのでしょうけれど、あまりに小さいがために技術や表現に限度が有り過ぎて、次第にここまでしか出来なかったという、言わば欲求不満を感じるばかりになってしまったのでした。
ならば代わりの物を官女に持たせなければなりませんし、とにかく五人の官女を五節句に見立てたい思いは変わりませんから、そこで同じ五節句の有職造花でも、官女の身長を140cmと仮定した縮尺でそれぞれの五節句飾りを造り、それを官女に持たせたらどうかと思い付いたのです。
人日→掛け蓬莱(本体9cm・全長48cm),上巳→流水桜橘(直径8.7cm・全長38cm),端午→真の薬玉(本体12cm・全長38cm),七夕→七夕花扇(全長29cm),重陽→茱萸嚢(本体12cm)という計画です。七夕花扇などは、本来三尺三寸(約100cm)というのですから、官女に持たせるには大き過ぎますので、官女には『匂い』と呼ばれる花使いの女性が持参する、目録の入った黒塗りの箱を持たせることにして、花扇自体は官女の前に横たえるプランでいるのです。
早速、『人日』の「掛け蓬莱」を作ってみたのですが、この程度 の大きさがあれば有職造花制作も満足が行くし、垂らす絹糸の美しさも十分に引き出せたのです。恐る恐る官女に持たせてみれば、上手いこと嵌ってくれたように思えましたので、それに気をよくして茱萸嚢の制作に進んだのでした。
さて、こうした本来の大きさとして尺三寸官女に再現された時、ただでさえ巨大な官女のことですから、単品ならともかく五人も並ばれたらどうなるか、派手に過ぎないか、煩くなり過ぎはしないかとか、そんな懸念を払拭出来ないでいるものの、今は只々わくわく、縮尺の五節句飾りに向かっているのです。

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