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■ 近頃のこと

2015/02/27

続 五つの節句

尺三寸の五人官女を五つの節句に見立て、各々の節句の代名詞たり得る飾り物を作って持たせるというプランで始めた制作が、全て完成しました。乗っている時というのはこんなもので、どんどん出来上がるのです。
先に、人日の『掛け蓬莱』と重陽の『茱萸嚢』はご覧に入れましたが、画像は上巳の『流水桜橘』(本体8.7cm)、端午の『真の薬玉』(本体15cm)、七夕の『七夕花扇』(29cm)です。それぞれが実物の約3分の1のサイズというだけのことで、作り方や構成は殆ど変わりません。ただ、人形に持たせることですから、多少ずんぐりと丸みを持たせるように作ってはあるのです。
『七夕花扇』に添えた漆塗りの手箱は、花扇を届ける際に"匂い"と呼ばれる花使いの女性が手にする、送り状を入れた箱です。実際にはこんな絵が描かれているわけではないのですが、七夕に合わせて、梶の葉を浮かべた角盥と五色糸を金泥で描いてみました。
箱の寸法は、この七夕花扇のモデルとした住吉広定画『七夕花使図』(奈良県立美術館蔵)の絵からの比率で出してあり、ちょうど6cmの長さになりました。もちろん中には、毛筆で書かれた送り状も入っています。
以前三宝に載せて官女に持たせた極小の五節句飾りと違って、これくらいのサイズがあれば、大きさからの限界から「ここまでしか出来ない」といった欲求不満を募らせる事もありませんでしたし、小ささを感じさせずに実物を彷彿とさせる飾り物に出来たのではないかと思っています。
まだ官女に持たせてはいないので、『掛け蓬莱』や『茱萸嚢』のように上手く嵌ってくれるかどうかは分かりませんが、最も問題なのは五人がこの飾りを持って並んだ時、煩雑に過ぎはしないかという事なのです。
とは言うものの、残念ながら今年もまた雛飾りの予定も持てず、桃の節句の到来にも箱の中で過ごしてもらわなくてはならない雛たちですから、確認のために手にさせてみる機会には必ず写真に残し、ささやかながら晴れの舞台にしたいと考えています。

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