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■ 近頃のこと

2018/12/23

年の瀬に

今月に入った頃から、リンがまた治療食であるキャットフードを食べなくなってしまいました。
結局、また鼻からカテーテルを入れて、直接胃に栄養剤を流し込んでいたのですが、幸い何とか食べてくれるようになったので、10日程で、エリザベスカラーもカテーテルも外すことが出来ました。
この前は6月のことで、暖房の要らない時期でしたから、エリザベスカラーが邪魔になろうと、リンが慣れてくれさえすればそれで済んだのです。
しかし今度は寒さの最中で、掘り炬燵に入るにも、リン用に小さなホットカーペットを2枚敷いて温かくしてある来客用の炬燵に入るにもカラーに邪魔されて上手く行きません。入口を広くすれば、暖房効果が薄れてしまうのです。
それで、クリアファイルを切り抜き、2周り程小さいカラー作って着けさせると、そのまま布団の中にも入ってくるようになったものですから、腕でテントのように布団を持ち上げて寝ていました。それでも、ゴロゴロと喉を鳴らしてくれれば、もうそれで嬉しいばかりなのでした。
そんなある晴れた朝、玄関の外に大きなカマキリがじっと日を浴びていたのです。もう霜すら降りているのに、良く今まで生き長らえていたものだと不憫になって、玄関の中にある植物に載せて、夜は家の中で過ごさせることにしたのです。
どんなに大きな腹をしていても、交尾の相手などもういないでしょうし、餌になる昆虫もいませんから、目的を達成出来ずにいずれは息絶えるしかないのでしょうけれど、暖冬の今年は暮れに近い今頃まで、何とか生きていたのでしょう。
翌朝、植木鉢の上に姿が見えないと思ったら、全く動かなくなって下に落ちていました。とうとう死んでしまったのかと、せめてもの供養に植物の葉に載せておいたのですが、日が射して温かくなったら、いつの間にか動いているではありませんか。どうやら仮死状態になっていたようです。
ならばと、ファンヒーターで暖房している居間に植木鉢ごと運んでみると、カマキリは夜中まで植物の上で上下を行ったり来たりしています。三角の頭に水を溜まらせてみたり、カサカサの羽を水で潤してみたりしていました。
暖房の切られる部屋のことですから、朝にはまた動かなくなっているのですが、ファンヒーターで温まれば、またいつの間にか動き始めるのです。あたかも全身麻酔のように、いつの間にか気を失って、麻酔が切れればまた甦るようなのが仮死状態だとするならば、寒さで体が動かなくなって、気を失っているうちに命が尽きるのでしょう。ならば、子孫を残し得なかった無念さを悔やむことなくなくていられるだろうし、それはそれで楽なことなのではないかと思うのです。
昨日は、縁側のガラス戸の内に、温かい日差しを日がな浴びていたのでしたが、今朝からファンヒーターで部屋が温まっても動きません。
いよいよ寿命が尽きたのかと、今さっき触ってみたら、突然動いてくれたものの、また静かになってしまいました。
カマキリを作るのは結構得意でいたりで、観察の機会も多かったのですが、最期まで看取るのはこれが初めてかと思います。
不思議な蘇生を目前にしているうちに、いつの間にか冬至を迎えていました。
寒さはこれからなのでしょうけれど、もう日が短くなることはありません。明日からは、日に日に日が伸びるのです。
何をしていてもしていなくても、季節は繰り返されます。目出度くもあり、痛々しくもあり、まるでカマキリの蘇生のようなものではないかと思います。

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