■ 近頃のこと
2015/10/09
世間というのは、何の根拠もない『三大テノール』だなんて陳腐な例を代表として、『三大珍味』とか『御三家』とか三つを一括りにするのが大好きなようです。三部作というと、漱石の『三四郎』『それから』
2015/10/02
山茶花というと八重が当たり前のようで、私自身も一重の山茶花を知った時には、本来山茶花というのはこういうものなのかというような衝撃を覚えたのです。山吹もそうだったのですが、それまで八重ばかりを
2015/09/28
お客さんから、水中の小魚を狙うカワセミのいる平薬をという要望があったのです。鳥の図鑑を見ていて、もちろん青い宝石のようなカワセミに目が止まらない筈はないのですが、澤潟(おもだか)とか河骨とい
2015/09/21
身辺に厄介なことばかりが押し寄せているというにもかかわらず、どうしたわけか平薬制作の手は一向に止まりません。未だに完成の先が見えてくると、次は何の制作に向かおうかという方が差し迫った一大事に
2015/09/15
ずっと以前、3人の娘のため、丸平大木人形店に3組の雛飾り制作を依頼された方が居られたのです。親王飾りではなく、特別仕様の15~19人揃をです。熱烈な丸平ファンの方でしたが、3人目も女の子だっ
2015/09/14
この平薬に目を留められた方から、秋の虫をどこかに止まらせるわけにはいかないかとお話がありました。しかし、昆虫を作るのは一筋縄ではいかないのです。今春からいくつも作った蝶も昆虫には違いないので
2015/09/05
葛の花の平薬を作りたいとずっと願い続けていたのですが、大きな葉が群がって繁る様を直径30cmの環に収める事の難しさに躊躇していたのです。春先からずっと、新しく作る花ばかりでオリジナルの平薬を
2015/08/29
野アザミとモンシロチョウの平薬を作り終えても、何だか手の疼きのようなものがちっとも納まらず、季節の青栗に梟(ふくろう)を組み合わせたらとひらめいて『原色精密日本鳥類写生大図譜』を見ていたら、
2015/08/25
尺三寸の五人官女のうち、五節句の上巳と端午に当てはめた二人の頭(かしら)は、丸平さんに残されていた、雑然と雛頭などを入れてあった幾つかの頭箱の中で、長い間眠っていたものでした。恐らく明治時代
2015/08/23
何でも全て、和紙で裏打ちした絹によって作らなければならないと思い続けていた有職造花でしたが、木彫り彩色での鳥などを組み合わせているうちに、蕾や萼でも有職造花の技法で作るには造形上の無理がある
2015/08/10
様々な芙蓉がある中で、私は九月に入ってからも咲き続ける桃色の芙蓉が好きなのです。未だ残暑の厳しさにあろうとも、冷たいコバルト色を含ませ始める晩夏独特の空にこそ殊更映えるその花の色もそうですが
2015/07/30
一昨年から『書院懸物図』という版本にある、藤原定家が12ヶ月の花と鳥を詠んだ和歌をモチーフにした図案の復元をしてきています。『書院懸物図』は、京都の古本屋で売りに出たのですが、そもそも江戸で
2015/07/21
梅雨明けが近くなると、そこかしこにノウゼンカズラが、赤みを帯びたオレンジの花を咲かせ始めます。その萼といったらエナメルのような質感の鮮やかな黄緑で、何とも対称的なのです。ノウゼンカズラは凌霄
2015/07/17
私にとって、朝顔を作るのは別段難しいこともないのですが、その蕾だけは結構厄介なのです。いわばパラソルのように、針金を芯として巻いて行けばよいようなものの、なかなかきれいに巻かれてくれるもので
2015/07/06
尺三寸の官女に持たせる上巳の有職飾り探しには、ほとほと手こずったものの、色々と文献を当たって行き着いたのは、結局また2000年に京都文化博物館で催された『京の五節句』の図録だったのです。そこ