■ 近頃のこと
2016/11/10
何かを作りたい手が疼きながら、何も思い浮かばない手持ち無沙汰な時間を持て余すと、ともかく『原色精密日本鳥類写生大図譜』を開いて、そこに載っている野鳥から興味惹かれるものを探してみるのです。そ
2016/11/07
数年前から冬に惹かれ続けているのです。早起きしての掃除の時から、キリッと引き締まった大気に毎朝背筋を正されるよう思いますし、掃除を終えた三間続きの和室を見通すと、その様といったら他の季節では
2016/10/24
『梅椿鶯』という早春の平薬を作って気に入っていたものの、派手なゴテゴテさがどうにも耐え難くなって、先日とうとうバラしてしまったのです。最初から気に入っていい気になれているようなものは大概ダメ
2016/10/12
裏山の大きな椎の古木が若葉で眩しい頃になると、毎年『ホッホーッ、ズルットホーッ...ホッホーッ、ズルットホーッ』という独特の鳴き声が、夜毎その椎の木辺りから響き始めるのです。それはアオバズク
2016/10/06
有職造花は、どうしても現時点の季節のものを制作したいという気持ちが強いのです。しかしながら、秋とはどうにも相性が悪い私は、キビタキの木彫り彩色などとっくに出来上がっていながら、それを組み合わ
2016/09/20
今年の夏ときたら、もうとっくに初秋だというのに、未だ梅雨のようにジメジメとした天候続き。とうとう梅雨が明けずに秋口まで祟っているという始末ですから、よくよく閉口してしまいます。移住候補として
2016/08/29
そもそも私は、何よりもジトッとした湿気が大嫌いで、北海道に梅雨がないというのなら本気で移住しようかと考えたりする程なのです。本当に今年の夏の湿気といったら、8月に入ってからすらカラッと真夏ら
2016/08/19
幾種類もある有職造花の中でも、技術的にであれ朝顔は得意な範疇なのですが、クルクルと内側に巻き込んで萎む終わりの朝顔に掛け替えのない風情があるのを知りながら、技法に確証が得られなかったりで再現
2016/08/18
この8月は、5月に亡くなった母の新盆だったのです。この地区では、新盆だと8月7日に特別の盆棚を作らなければならず、昔は近所が集まって設えたものだったのです。切ってきた真竹を組んで巾6尺奥行4
2016/07/26
私のとても親しい友人が、チェコの友だちの結婚式に呼ばれて行くことになった時、お祝いに平薬をプレゼントしたいと言われて作ったのが、直径20cmの桜の平薬でした。やはり日本ならではの花の方が良い
2016/07/11
私の生まれ育った地域の習俗だと、切子燈籠というのは本来亡くなった親の新盆に、婚姻で家から出たり独立した子どもが一対ずつ献げるものなのです。決して安いものではないし場所も取るし、幾つもあったと
2016/06/28
白絹スガ糸一束を壁からぶら下げたままにしてあったのですが、毎日目にしているうち、それが飛沫散る瀧の白糸のように見え始めたものですから、束のままの白絹を流水に見立て、魚が遡る様の平薬でも出来な
2016/06/03
大きな藤棚の制作依頼があったのですが、ただでさえ工程に難儀な藤のことながら、藤の立木というのは作ったことがありませんでしたし、興味が勝って引き受けたのです。いつもの事ながら、最も厄介な問題は
2016/05/24
5月11日に日付が変わった1時39分、看護師がモルヒネ皮下注射の交換をした途端に、母の息はふっと止まったのです。苦しみもせず、神戸から最終の飛行機で駆けつけた孫の到着を待っていたかのように、
2016/04/28
庭に残る古井戸の向こうに、物心付いた時には既にあったように思うほどの昔から、鉄線(クレマチス)が毎年同じように薄紫の花をびっしりと咲かせてくれるのです。ですから私にとっては、その色も雄蕊も葉