月別アーカイブ

■ 近頃のこと

2024/04/12

トラの失踪と蹴鞠の庭

随筆漫画家と呼ばれた『つげ義春』の作品に、『峠の犬』という短編があります。あらすじを確認すると、次のような記載がありました。 『行商人の住まいの近くに五郎という犬がいたのですが、その犬は1年
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2024/04/03

筍と雀の平薬を作る

そもそも私は雀が大好きで、野に食べ物の無くなって来る11月半ば頃から、毎日朝昼夕と玄米や小鳥の餌を、1日に5合近くも納屋の屋根に撒いているのです。 それをカラスのクソったれが、小鳥を蹴散らし
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2024/03/13

心は既に五月色

私は荷物を持ち歩くのが苦手で、出来るならばいつも何も持たずにいたいとすら思うものですから、旅行に行っても土産など殆ど買いません。 頻繁に宮古島に通っていた頃でも、荷物など預けたりしないで、サ
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2024/01/20

嶋台と羊雲(ストレイシープ)

珍しく、幅39cmと幅15cmの洲浜台による、大小2つの制作依頼があったのです。 大きな嶋台は、何しろ実際の婚礼に使うと言われるのですから、本来ならば幅60cmとかの洲浜台に載せる大きさが理
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2024/01/13

七草籠と筝弾く楽人

私の丸平雛コレクションである、尺三寸という大きな五人官女は、その数から5つの節句ならではのものを小道具に仕立てて持たせ、1人1人を五節句に見立てたのです。 1月7日人日の官女の前には、散々考
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2023/12/28

年の瀬に

続いた来客やら、日常の家事に制作の時間を取られ、気が付けば干した布団が早くも陰ってしまっているという日の短さ。 そんなこんなに、何だかやたらと焦ってばかりの毎日でいるうち、すっかり今年も押し
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2023/11/28

枯れ蓮に帰る

ちょうど10年前の12月に、『凍日』と題した平薬を作ったのでしたが、それは枯れた蓮の葉と百舌鳥ばかりの荒涼とした雪景色で、飾り物である平薬として異色なものでした。 ずっと以前から、無惨に折れ
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2023/11/19

落ち葉舞う頃

毎年今頃の時期になると、19歳当時に通学で毎日のように歩いた、玉川上水脇の雑木林にある、自転車がやっとすれ違えるほどの裏道を思い出すのです。思い出すというより、思い出さずにいられない何かに、
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2023/11/06

眺めせし間の藤袴

8月半ば、秋の七草制作のために、初めて作ってみた藤袴(ふじばかま)でしたが、以前から庭に群生する藤袴の美しさには、目を見張っていたのです。 いつかは藤袴の平薬を作れたならと、折につけ思い続け
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2023/10/16

7月の創作平薬完成顛末

市販の造花材料で作ってみた藤袴と同じ手法で、散々試行錯誤してきた女郎花作りに、もう何度目にもなった挑戦をすれば、形としては実物に近付けたように思えたものの、最も肝心な女郎花ならではの風情とい
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2023/10/14

たれにあいみぬ女郎花

今年の夏の異常な日照りのせいなのか、例年ならば9月末には金木犀が満開になり、落花で根元が橙色に染まるのですが、今年は10月を迎えて数日を過ぎても、さっぱり花が見えなかったのです。 庭の奥の大
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2023/09/27

彼岸過迄

9月23日、雨模様の気温は涼しさを通り越した程で、タオルケットに包まったまま、7時近くまで眠ってしまいました。何ヶ月ぶりだったでしょうか。 9月に入っても灼熱の太陽は少しも衰えを見せず、およ
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2023/08/30

fly me to the moon ─8月 萩と雁の平薬─

今年の猛暑の執拗さには、情けないほど打ちのめさせられてしまいました。 山向こうに日の出の兆しが見えると、その光は既に、今日もまた容赦のない酷暑になることを、否応無しに宣言しているのです。 昔
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2023/08/04

上弦の月に尾花茂れる

中学生の頃、一般が学ぶ書道の雑誌で、画仙紙の半切に1句だけを仮名書きした手本があり、それが『石も木もまなこに光る暑さかな』だったのです。 どんな字だったかなどとうに忘れてしまっていながら、俳
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2023/07/29

何処にか鶴は飛び去る ─『10月 菊と鶴』を作る─

11月の平薬を仕上げ、次は10月をと思いながら、一向にプランがまとまらなかったのです。 明確なのは、丹頂鶴の頭の赤を際立たせる構成をというだけで、菊は白菊だけでとか考えはしたのですが、鶴のポ
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